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最近、新聞やメディアでもよく目にするようになったNFTやメタバース。両方とも聞いたことはあるけど、実際はどんなものか把握できている人は少ないです。
NFTもメタバースも自分の生活に実際に取り込まれるとなると、どんな事が起きるかの想像が難しいです。
しかし、そんなことはありません。すでにメタバースやNFTは日常的に取り込まれている場合もあります。ただそれがメタバースである認識が持てていないだけです。
これからの時代に必要となりつつある技術のNFTやメタバースについて、いまいち分からない方やもっと詳しく知りたいという方のために分かりやすく解説していきます。
目次
NFTやメタバースってなに?
NFTとメタバースは類似した言葉のように一緒に語られることが多いですが、実際は全く異なる概念のものです。
大まかにいえば、メタバースはそのプラットフォーム内の仮想空間のことです。登録が済み、参加権を得れば誰でも立ち入ることができます。もちろんインターネット上です。そして、その空間の中にも土地やアイコンに使用するアイテムなどが存在します。その土地やアイテムを誰のものか明確にするために、NFTの技術を取りこんでいこうというのが現状です。
またメタバース内で土地やアイテムを売買するときにお金が必要になります。そのお金もゲーム内で使用される独自トークンを用いてブロックチェーンで管理すれば譲渡の際も、所有者を明確にできます。
まずは具体的にNFTとメタバースについて解説していきます。
NFTとは?NFTの特徴について紹介
NFTはNonFungible Tokenの略で非代替性トークンという意味です。非代替性とは、替えの効かない唯一無二の存在を意味します。NFTはブロックチェーン技術を活用して、唯一無二であることを証明することが出来ます。
今までだと、インターネット上のイラストや写真、動画などをスクリーンショットで取り入れたり、「写真を保存」して簡単に利用することが出来ました。保存するだけなら良いですが、改ざんなどされてしまう恐れもあり、その価値を証明するのは難しいという問題もありました。当然今後も利用は出来ますが、SNSなどで拡散されるにつれ、そもそもその写真を撮影した所有者は誰かわからなくなっていきます。
しかし、撮影した写真や自身が作成したイラスト画をブロックチェーンで管理し、売買の記録をアドレスで紐付けて管理できるとしたらどうでしょう?「私が作成したイラスト」を「購入したあなたが所有する」と唯一無二が証明できるツールとなります。
つまりNFT技術を使えば、あなたのデザインしたイラストや写真が本物であることの証明ができます。
またNFTは2次流通されてもロイヤリティーを設定することで、権利収入を得る事も可能です。世界最大のNFTマーケットであるOpenSeaでは最大10%を設定することが出来ます。
例えばあなたのデジタルイラスト作品をBさんに1ETHで販売したとします。Bさんはあなたのデジタルイラストに価値があると感じたため、3ETHで販売したところ、Cさんが購入してくれました。そうなるとあなたの作品にも関わらずBさんは2ETHの利益を得る事ができました。
しかしロイヤリティーを設定しておくと、BさんがCさんに販売した3ETHの10%の0.3ETHがあなたの権利収入としてウォレットに入ってきます。その後もCさんがDさんに売却した際も10%が権利収入として入ってきます。
つまりあなたの作品は、あなたの手を離れ転売を繰り返されますが、あなたが制作した権利はロイヤリティーによって永遠に守られるところもNFT技術のメリットと言えます。
メタバースとは?メタバースの特徴について紹介
メタバースは「Meta」と「Universe(宇宙)」をつなげ合わせてできた言葉で、現実とは違う次元の世界、つまりバーチャルな仮想空間を意味します。
利用者である我々はオンライン上に構築された3DCGの仮想空間にアバターと呼ばれる自分の分身として参加し、相互にコミュニケーションを取りながら、企業が提供する販売物やサービス内で商品の制作・販売といった経済活動を行なったり、そこをもう一つの「現実」として新たな生活を送ることができます。
特に2020年3月から世界中に蔓延したコロナウイルスで自粛を余儀なくされ、行動範囲も制限されました。実際にオフラインでは人々は出会うことすらできなかったのですが、メタバースのような仮想空間には、パソコンと通信機能さえあれば誰でもアクセスすることが可能です。
仮想空間ですので、実際に飛行機や電車に乗る必要もなく、距離の制限を感じずに世界中の方とも交流もできます。
他にもオンラインでの会議としても利用できます。Zoom会議と違うところは、お互いのアバターをバーチャル空間といえど、会議室やPCも用意してあることでリアルさながらの会議も行えます。
その他にもメタバースを利用してバーチャルライブも活用されることがあります。こちらも今までなら、オフラインでライブ会場まで足を運んでいたものが自宅で簡単に参加できるようになりました。
メタバースがオンラインでライブ視聴するのと違うのは、疑似体験とはいえ、仮想空間で同じ体験を共有できたり、VR(バーチャル)技術と掛け合わせて、まるで相手が目の前にいて話をしている空間が構築されます。
NFTの具体例
NFTが一番最初に世間に知れ渡ったのは「NBA TOP SHOT」でしょう。コロナ禍でNBAの開催も停止して、売り上げの目途が立たずにNBAも困っていたのです。
その打開策として、選手たちのハイライトシーンをNFT化してトレーディングカードとして販売することでした。「NBA TOP SHOT」はパッケージとして販売されていて、その中にReraやLegendaryといった激レアNFTカードが含まれているパッケージはすぐに完売してしまいます。
特にレブロンジェームスなど人気選手が試合を決めたダンクシュートシーンのNFTカードは2200万円以上の高値で取引されているカードです。
所有している側からすると、お気に入りの選手のハイライトシーンを唯一無二の存在として、自分自身の資産に含まれる事で優越感が生まれます。
販売元であるNBAも、NFTとしてデジタルデータを販売するだけなので、今までのトレーディングカードのように製作費、紙代や輸送費のコストもかからず、しかも劣化することがない資産を生み出すことが出来るのです。
その他では、24×24ピクセル(いわゆるドット画)でアート1つずつが初めてETHのブロックチェーン上に記録され、所有してTwitterアイコンとしても人気が高いCryptoPunksも高値で取引されています。
メタバースの具体例
メタバースは新しい概念に思われがちですが、既にゲームの分野では馴染みがある状態となっています。日本のゲームで有名なのは、自分の分身となるアバターを作って仮想空間で生活をする「あつまれ どうぶつの森」の世界も、メタバースの1つと言えます。
他には「MineCraft」もゲーム内に草原、海、山岳が広がっておりその中で自分で土地を開拓したり、オリジナル性のある建物を作り出したりゲームアイテムを獲得できるなど、自由に活動できる点で人気となっています。
特に「MineCraft」は暗号資産の発行プラットフォーム「Enjin 」とマインクラフトの提供元であるマイクロソフトで連携して、マインクラフト上でのデジタル資産の導入や開発を進めています。
もう一つ世界中で爆発的人気となっているゲーム「Fortnite」も複数人のユーザーとバトルロワイアルを楽しめる無料オンラインゲームです。(一部課金あり)
ボイスチャットの機能を用いて友達と会話しながらゲームを楽しむこともできます。コロナ禍の自粛時期には、人気アーティストの「米津玄師」さんのライブも「Fortnite」で開催されたこともあり、プラットフォームとしても期待されています。
NFTのメタバースの関係性について
NFTとメタバースが異なる技術であることが分かったかと思います。ではその異なった概念であるNFTとメタバースがどう繋がっていくのか?また繋がっていくとどんな世界が待っているのか?
そのあたりを解説していきます。
NFTとメタバースってどんな関係?
メタバースの多くはブロックチェーンテクノロジーを利用、活用しようしています。これらの仮想世界で取引するには、ユーザーは暗号通貨または非代替トークン(NFT)を必要とするからです。世界中の方が参加すれば、法定通貨では取引が大変ですよね。
特に多くのPlay to earnゲームでは、トランザクションとゲーム内のアセットと報酬の両方に使用される独自トークンである暗号通貨を使用します。
Play-to-Earnゲームは、オープンエコノミーのアイデアを取り入れており、ゲームエコシステムでプレイして時間を過ごすことで、付加価値を提供する参加ユーザーに金銭的な報酬を提供します。以前のゲームの認識は、無料で楽しめて必要ならガチャなどの費用を課金してましたが、資産として残ることはなく単なる楽しみ方の一つでした。
しかしゲームにNFTが組み込まれると、ゲームで獲得したアイテムなどが自由に売買できます。課金してもゲットできないが、マーケットで売っているならそちらで購入することも可能なわけです。
新しいクラスのゲームが登場するにつれて、ユーザーの認識は変化しています。今ではゲームは楽しいだけでなく、魅力的な投資する機会にも恵まれています。投資について言えば、最近、業界は大規模なベンチャーキャピタル企業がゲーム産業に多くのお金を投資しています。
コインチェックがサービス提供しているThe Sandboxとはイーサリアムのブロックチェーン技術を基盤としたプラットフォームですが、ユーザーはメタバース上にLAND(土地)を購入し、レンタルをすることで、オリジナルのゲーム内アイテム、キャラクター、サービスを作成することができます。
さらにユーザーは所有するLANDやアイテム、キャラクターをEthereumブロックチェーンによる代替不可トークン(NFT:Non-Fungible Token)としてプラットフォーム上に自由に売買することが可能です。メタバース上にブロックチェーンで紐付けされた個人のNFT土地を所有するために、ゲーム内通貨や暗号資産で取引する機会は別のプラットフォームでも増えていきそうです。
NFTやメタバースが注目されている理由
NFTとメタバースの関係性が把握できたと思います。改めて今、NFTやメタバースが注目されている理由は何なのでしょうか?ニュースなどで話題になるのは、それなりの理由があります。
そちらについて解説します。
メタバース上でNFTを活用し経済活動が行えるようになったため
ブロックチェーンを活用したメタバースには、「NFT」の活用も不可欠です。
メタバースのプラットフォームにNFTの「唯一性」が証明できます。特にゲーム内で往来の激しい場所をLandとして所有すれば、所有者は希少性や優越性を保持することもできます。仮に価値の高いLandはメタバース上で企業が所有できれば、自社広告を打つことも可能です。
実際にスポーツメーカーのアディダスはThe Sandbox内でロゴ入りの土地を販売したこともあります。NFTが市場で販売されている仮想通貨と異なるのは、データとして代替不可能であるという特徴を持っている点です。
このようなNFTをメタバースに活用することで、メタバースの可能性も拡張することが出来ます。メタバース上に段階的に土地やアイテムを増やしていけるからです。
土地の所有権やプレミアの証明をNFTで行うことで、メタバース上で提供されるサービスやプロダクトの幅が広がるのです。実際にメタバースでNFTが活用されている事例を見ると、
土地・建物
・芸術作品(デジタルアート)
・会員権(BoredApeYachtClubは、実際の会員権も販売していることで有名です。)
・ゲーム内のアイテム
特定のNFTを所有している人のみ参加権を与えるなど限定性が含まれると、メタバース上で受けられるサービスが異なるシステムを展開できることで、サービスの幅や楽しみ方が拡大する可能性もあります。
メタバースでの秩序を構築するにあたっても飛躍的に可能性が広がります。
以上の理由から、NFTがメタバースに与える影響は非常に強く、メタバースのさらなる発展に必要不可欠な技術であると言えます。
仮想通貨・NFT業界のバブル状態のため
現時点ではThe Sandboxほど密接に暗号資産やNFTと繋がっているメタバースはありません。しかし2021年中旬のCryptoPunksやBoredApeYachtClubといった人気NFTの価格暴騰もあり、持っているだけで資産価値が上がっているのがNFTの現状でもあります。
2022年5月時点では価格が下落気味ですが、NFTを購入するために必要となるETHを購入せざるを得ない状況でありました。
メタバース内で使用されている土地やアイテムがいつNFT化されるかわからないけど、先行者利益で安い価格で早めに所有したい、そして安い価格で購入できれば転売して利益を獲得したいという投機目的の方も少なくありません。そういった市場の過熱感がNFTバブルを生み出していると言えます。
コロナ禍の新しいコミュニケーション手段になる可能性があるため
メタバースと言っても未だ代表的なプラットフォームは存在していません。The Sandboxが少し抜きんでている状態ですが、MinecraftやFortniteもゲームの域からは脱け出してはいないのです。
現状は新たなるコミュニケーション手段を開拓し、将来のプラットフォームの利権獲得のために動いているのがアメリカIT大企業群であり、社名をMetaに変えてまでメタバースの将来性にかけている旧Facebook社が最先鋒に挙げられます。
Meta(旧Facebook)はメタバース関連部門であるFacebook Reality Labsに約100億ドル(約1兆1400億円)を投資し社運をかけたプロジェクトになっています。同社「Horizon Workrooms」の将来的な活用法も示唆しています。
それ以外にも『オーバーウォッチ』などのゲームで有名なActivision Blizzard社の買収を発表し、コロナ禍で利用機会が増えた同社のリモートワーク・コラボレーションツール「Teams」でメタバースへの対応を発表したのが、Microsoftです。
MetaやMicrosoftほどメタバース市場への言及はしていませんが、スマートフォン市場でも50%以上のシェア率を誇っているGoogleもメタバース関連企業の買収を実施済です。
メタバース市場に必要なスマートグラス企業Northを約195億円で買収していますので、着々とメタバース市場への足掛かりを探っている状況です。
GAFAMなど巨大IT企業が、次世代のコミュニケーションツールであるメタバースで業界の覇権を競っています。どの企業が業界の象徴になるかは想像できません。すでに新しいコミュニティーは動き出していることは把握すべきでしょう。
NFTやメタバースについてまとめ
それではNFTとメタバースが注目されている理由のまとめです。
・NFTとメタバースは、別の技術を用い、互いのプラットフォームがすでに出来ている。
・メタバースには、MinecraftやFortniteなどすでに馴染みがあるプラットフォームも含まれる。
・メタバース上の土地やアイテムをユーザー間で自由に売買するためには、NFTの技術である唯一性が必要。そのためにブロックチェーンで管理し、独自トークンも発行すればメタバース経済も発展していく。
・現在はMeta(旧Facebook社)やMicrosoft、GoogleなどのIT企業が、次世代プラットフォームであるメタバースの覇権争いが起きている状況。
以上です。
NFTとメタバースという技術が上手く交われば、次世代のプラットフォームは素晴らしく期待できることでしょう。今後のメタバースの発展には目が離せません。