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岸田文雄首相は27日、暗号資産(仮想通貨)の税制改正に前向きな姿勢を見せました。
同日の予算委員会で、国民民主党の玉木雄一郎代表は「暗号資産をFXと同様に雑所得ではなく20%の申告分離課税にすべき」、「発行法人が保有するトークンは期末時価評価の対象から外して実際に収益が発生した時点で課税するように見直すべき」と提案。
岸田首相は、「慎重に検討する」と答弁しただけでした。
しかし、その後の玉木代表との挨拶の際、税制改正を前向きに進める旨の発言をしました。
目次
仮想通貨税制について
仮想通貨税制の問題点
日本の仮想通貨税制はかねてより、「人材の海外流出を招く」として問題点が指摘されてきました。
法人が期末まで仮想通貨を保有していた場合、期末時の時価が取得時の価格より高いと、評価益が計上され所得に加えさせられることが問題となっています。
この税制によって、Web3事業者が日本での創業が困難に。
そのため、人材や事業の海外流出を防ぐ改正案として下記2つが挙げられています。
- 仮想通貨を20%の申告分離課税とする
- 法人保有のトークンは期末時価評価の対象外とする
政治家も仮想通貨税制の課題を認識している
22年2月に、パブリックブロックチェーン「Astar Network(ASTR)」を開発するStake Technologies株式会社の渡辺創太CEOは、Web3をめぐる日本の税制についての記事を発表しました。
渡辺氏の意見に、さまざまな有識者や政治家が賛同を示しており、自民党の河野太郎氏も「自民党内で税制改正に向けた議論が始まっている」とコメント。
今後の動きに注目が集まっています。
国家戦略としてのWeb3
デジタルへの投資
岸田首相は5日、英国・ロンドンの銀行家や投資家に向けて日本への投資を呼びかけました。
下記4つの柱を挙げ、資本主義のバージョンアップに意欲を見せています。
- 人への投資
- 科学技術・イノベーションへの投資
- スタートアップ投資
- グリーン、デジタルへの投資
「グリーン、デジタルへの投資」でWeb3が言及されました。
岸田首相は官民双方でデジタルトランスフォーメーション(DX)を積極的に推進する意向を示しており、「ブロックチェーンやNFT、メタバースなどWeb3の推進のための環境整備も含め、新たなサービスが生まれやすい社会を実現する」と述べています。
Web3を見据えた国家戦略と岸田トークン
自民党の平将明衆議院議員など自民党のデジタル社会推進本部NFT検討PTが3月末「NFTホワイトペーパー」をとりまとめ、4月末には岸田首相に提言しました。
提言書には「Web3時代の到来は日本にとって大きなチャンス。しかし今のままでは必ず乗り遅れる。」と指摘し、Web3を見据えた国家戦略を策定する必要性を求めています。
こうした中、自民党の青年局は27日、NFTやメタバースを用いた集会を開くことを公表しました。5月末の研修会で「岸田トークン」「小泉大臣トークン」を配布予定であることを発表。
塩崎彰久青年局次長は、「NFTを使って今後会議の意思決定、投票の場にも活用できるかもしれない。まずはNFTに慣れてもらうことで、エンゲージメントの仕方を模索していきたい」と強調しました。
まとめ
今回は、岸田首相が仮想通貨税制改正に前向きな姿勢であることをまとめました。
21年末から「Web3」というワードが盛り上がっており、22年に入って徐々に国家戦略としてWeb3を推進する動きも増えてきています。
ですが多くの人が、現在の仮想通貨税制が障壁になっていることを認知したのではないでしょうか。
税制改正に対して多くの有識者が賛同し、国家としても前向きな姿勢であるため、今後の動向に注目が集まっています。