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ブロックチェーンは、取引状況が公開されていて誰でも閲覧ができる透明性の高さが大きな特徴です。
しかし、具体的にどうやって取引状況を確認するのか分からないという方も多いのではないでしょうか。それを可能にするのが、「Etherscan(イーサスキャン)」というサイトです。
Etherscanではイーサリアムチェーンに含まれるウォレットやトランザクション(取引処理情報)などを確認することができます。この記事では、ブロックチェーンの取引を見ることができるEtherscanについて、その主な機能や使い方を画像付きで解説していきます。
目次
Etherscanとは?
Etherscanはイーサリアムブロックチェーンに含まれているさまざまなウォレットやトランザクションを確認することができるWebサイトです。
このようなサイトは「ブロックチェーン・エクスプローラー」などと呼ばれ、「Blockchain.com」や「BLOCKCHAIR」など多数のサイトがありますが、イーサリアムチェーンのエクスプローラーとしてはEtherscanが最も有名です。Etherscanの特徴について、さらに詳しく見ていきましょう。
シンプルで分かりやすいUI
Etherscanがよく利用されている理由としては、シンプルでありながら深いところまで手が届く豊富な機能がある点が挙げられます。実際の画面を見てみると分かるように、UI自体は簡素ですが必要な情報が分かりやすく記載されています。
多くの規格に対応
イーサリアムチェーンで発行されるトークンには、実はさまざまな規格があります。
例えば、基軸通貨であるイーサリアムを扱う「Ether」や、主にイーサリアム以外の仮想通貨を扱う「ERC20」、NFTなどに使われる「ERC721」、より複雑な仕組みでトークンを扱える「ERC1155」などです。Etherscanでは、現在主流となっているこの4つの規格すべてに対応しています。
このような様々な規格が存在する理由は、イーサリアムに搭載された「スマートコントラクト」機能により、単なるトークンの送受信にとどまらない複雑な取引ができるためです。例えばERC20では、トークンをプロジェクトの意思決定に関わる投票権とする「ガバナンストークン」の発行や、トークンの販売によって資金を集めて購入者にはリターンを配布するクラウドファンディングのような使い方ができるようになっています。
現在もイーサリアムには、利便性や安全性などの観点からより良い規格が多く提案され、実装されています。現在主流の4規格に対応しているEtherscanは、今後出てくるであろう新規格も閲覧機能が実装される可能性が高いといえるでしょう。
Etherscanの使い方
Etherscanには機能が数多く備わっています。ここでは、特に利用頻度が高い機能について解説していきます。
ウォレットの確認
Etherscanにはウォレットの確認機能があり、ウォレットアドレスから検索した暗号資産ウォレットに格納されたイーサリアムチェーン上の資産を閲覧することができます。ここでは例として、イーサリアム開発者の1人であるヴィタリック・ブテリン氏のウォレットを確認してみましょう。
ウォレットの内容を確認するには、トップページの検索フォームにウォレットアドレスを入力して検索ボタンをクリックします。ヴィタリック・ブテリン氏のウォレットアドレスは「vitalik.eth」です。
「.eth」で終わるウォレットアドレスは、ENS(イーサリアム・ネーム・サービス)というサービスを利用して分かりやすくしたものです。本来、ウォレットアドレスというのは「0x」から始まる30桁ほどのランダムな文字列になっています。このアドレスはとても覚えにくいため、ENSを利用することで簡略化することができるのです。
ヴィタリック氏のウォレットアドレスを検索すると、検索結果に「Resolved Address」の項目があります。ここに書かれた文字列が、本来のウォレットアドレスです。そこでこのアドレスをクリックして、ウォレットの情報を確認してみましょう。
1.Overview
ここにはウォレットに入っている資産の概要が表示されます。「Balance」の項目はイーサリアムの資産額、「Value」は現時点での相場をもとにした米ドル換算での資産額、「Token」項目のプルダウンはクリックすることでウォレットに入っているトークンの種類や量を確認することができます。
また、右下にある財布マークのアイコンをクリックすると、資産をより詳しく確認することができます。
①をみると、先ほどの資産額と異なることがわかります。これはこの値がイーサリアム以外のトークンも含めた総額であるためです。このウォレットにはイーサリアム以外の資産も含めて合計で11,557,333.10ドル、イーサリアム換算では6431.781839ETHが格納されていることがわかります。
さらに下の項目では、具体的なトークンの種類と量を確認できます。
例えば一番上の②「Asset(資産)」はイーサリアムであり、③「Quantity(量)」は約4092.4586ETH、④「Value(価値)」は7,353,779.81ドルです。さらにその下を見ると、「ERC20」「KyberNetwork」などさまざまな種類のトークンがウォレットに入っていることがわかります。
この一覧では、「Asset」「Quantily」など項目名をクリックすることで昇順・降順に順番を変えて確認することも可能です。
さらに下へスクロールすると、①「Liquidity Pool Assets(流動性プール資産)」と②「NFT Assets(NFT資産)」を確認できます。
「Liquidity Pool Assets」とは、分散型取引所(DEX)に提供しているトークンの流動性です。DEXの仕組みは大変複雑なため詳細は省きますが、この流動性を提供することでDEX上で手数料を得ることができます。このウォレットでは、例えば一番上の項目では「LTI」「DAI」のトークンで流動性を「Uniswap V2」という取引所に提供していることがわかります。
また、「NFT Assets」を見ると、ERC721の規格で扱われている「POAP」というプロジェクトのNFTがウォレットに入っていることが確認できます。NFTをクリックすると、そのプロジェクトのURLやNFTの価格など、さらに詳細を閲覧することも可能です。
2.Transactions
ここには今見ているウォレットが行った取引履歴が記載されています。
例えば、一覧の一番上に記載されているトランザクションは「Age」が”44 mins ago”と書かれているため44分前に実施された取引で、「from」に記載されたアドレスから、「Value」に記載されている通り0.000002イーサリアムが送信されていることがわかります。
また、一番左の「Txn Hash」項目をクリックすることでその取引の詳細をさらに確認することも可能です。トランザクションの詳細については、次の項目で詳しく解説します。
トランザクションの確認
トランザクションとは、ブロックチェーンで行われた取引を指します。各トランザクションには「トランザクション・ハッシュ」という固有の値が割り振られており、この値をもとに取引を検索することができます。
ここでは例として、ヴィタリック・ブテリン氏のウォレットから分散型取引所の「Uniswap V3」へ送金が行われたトランザクションを見ていきましょう。このトランザクションのハッシュは、「0x9846ec9e063cea51cc50bca3a8d52874bcd7029d072df89b81928a6b226fc99c」です。
この文字列をトップページのフォームに入力し、検索をかけます。
該当のトランザクションの詳細が表示されました。いろいろな情報が表示されていますが、主な項目だけピックアップして確認してみましょう。
1.Status
「Status」項目には、その取引が現在どのような状態にあるかが記載されています。画像に表示された「Success」の場合、取引が問題なく行われて完了したという意味です。その他、取引が処理中の場合は「Pending」、ガス代(取引手数料)の不足などにより取引が中止された場合は「Fail」といった表示がされます。
2.Transaction Action
この項目には、このトランザクションで行われた取引の概要が記載されています。内容を見てみると、「Uniswap V3」という分散型取引所において、124.84377…ETH(イーサリアム)が、250,500USDC(USDコイン)に、Swap(交換)されたことがわかります。
3.From,To
この2つの項目では、誰から誰へ取引が行われたかが記載されています。
まず「From」には送金元が記載されています。この場合、ヴィタリック氏のウォレットである「vitalik.eth」が送金元だとわかります。
次に「To」に記載されているのは送金先です。ここには「Contract 0x68….」というアドレスが記載されています。「Contract」と書かれているアドレスは「コントラクトアドレス」と呼ばれる、プログラムが処理を行うために利用するウォレットのアドレスです。ここでは、取引所「Uniswap V3」でプログラム処理に使われるウォレットアドレスが記載されています。その下を見ると、このプログラムがさらに複数のウォレットへイーサリアムを送金して、取引処理を行なっていることがわかります。
4.Transaction Fee
イーサリアムの送金には手数料がかかりますが、この項目には取引でかかった手数料が記載されています。この取引には0.00298977イーサリアムの手数料がかかったようです。なお、左に記載されているドル換算された値は、この取引が行われた時点でのレートを参照して表記されています。
トークン情報の確認
Etherscanでは、イーサリアムチェーン上で取引されている各種トークンの基本情報も閲覧することができます。その手順を見ていきましょう。
ここでは例として、先ほども出てきた分散型取引所「Uniswap」で使われているトークンである「UNI」の情報を確認してみます。まずは、トップページのフォームにトークン名を入力しましょう。
「Uniswap」または「UNI」などと入力すると、自動的に検索結果の候補がプルダウン表示されます。
ここでは一番上に出てくる「Uniswap(UNI)」を選択して、詳細を確認します。表示されている内容について、順に見ていきましょう。
1.Overview
ここではトークンの概要を確認できます。
「Price」は現在の価格、「Max Total Supply」は市場に出回っているトークンの数、「Holders」はトークンを保有しているウォレット数、「Transfers」は取引が実施された回数の合計です。
2.Profile Summary
ここには取引プログラムが利用する「コントラクト・ウォレット」のアドレスや、トークンを発行している団体のWebサイトや各種SNSアカウントなどが記載されています。
3.Transfers
ここにはトークンが取引された履歴が表示されます。
トランザクションを確認する際と同様に、トランザクション・ハッシュの確認や、いつ・誰から・誰へ・いくらの取引が行われたのかを確認することができます。
Etherscanでイーサリアムをもっとよく見てみよう
ここまで、Etherscanの主な機能を3つ紹介しました。
仮想通貨やNFTでさまざまな取引ができるイーサリアムチェーンは今後も新しいサービスが出てきます。
Etherscanを利用して取引履歴などを確認し、正しく扱えるように知識を身につけていきましょう。